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2022.09.12

事例で考察!営業DXに必要なデータをどう収集するか?

アジェンダ

  • コロナにより加速する営業DX
  • 営業DXに欠かせないデータ収集
  • 動画配信から顧客ニーズやインサイトを把握
  • 視聴者リストに対して優先順位をつけてアプローチ
  • PDCAサイクルの高速回転

 

コロナにより加速する営業DX

 

2020年初頭に発生した新型コロナウイルスにより、従来のビジネス商習慣は大きく姿を変えた。営業の現場でもそれは例外ではない。従来、対面が基本だった商談はオンラインが主流となり、この流れはコロナが収まっても変わらないだろう。新規の顧客を開拓する際に多くの企業が行ってきたセミナーでも同様だ。臨場で開催していたリアルセミナーはオンラインセミナーやwebinarに形を変えて、すでに多くの企業が展開している。

こういった変化を睨みながら企業の営業部門は、現在、急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている。富士キメラ総研が2022年に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場(投資金額)調査」によると、営業マーケティングDXの市場規模は、2020年度の1564億円から2030年には約3倍の4500億円に達するという予測されている。

営業DXは、データとデジタルを活用して顧客ニーズやインサイトを把握し、最適な営業プロセスや体制を構築することだ。営業部員が手当たり次第、潜在顧客にアポの電話をかけ足で稼ぐといった従来型の営業スタイルからの脱却を意味する。

営業プロセスは既存顧客向けと新規向けでは異なり、新規の場合、新規リードの獲得→アポ取り→ご挨拶→ヒヤリング→提案→折衝→クロジージングという流れが一般的だ。リード獲得からクロージングまでのプロセスにおいて、データを軸に顧客ニーズや顧客インサイトを定常的に把握し、それにいち早く対応できる体制を構築できるかが重要になってくるのである。

 

営業DXに欠かせないデータ収集

 

ここで営業DXのゴールから必要な仕組み作りを洗い出してみる。

営業DXの最終ゴールは、「データを軸にした営業プロセスや体制の確立」だ。そのためには「顧客ニーズやインサイトの正確な把握」が必要になる。それには、「顧客のまだ満たされていないニーズや潜在ニーズの把握」、その把握のために「顧客とデータ収集ができるのタッチポイントの構築」が必要になる。

では、どう構築するか。

そこで今、注目されているのが動画を用いた顧客とのタッチポイントの構築である。動画はライブ配信、アーカイブ配信、疑似ライブ配信をさす。そしてこの動画から、新規顧客や既存顧客(視聴者)のリアクションやチャット、コメント、アンケート、メッセージ、画面キャプチャー等のデータを取得し、顧客ニーズの把握やインサイトの把握に繋げるのだ。動画はデータポイントが多数あり、データ収集には非常に最適である。

ここで重要なのはデータが取れる動画配信プラットフォームを用いることである。

動画配信の際、データ収集手段がWebアンケートだけだと勿体無い。アンケートは有効な面はあるものの、不誠実な回答や、またアンケートは記憶に頼って回答してもらうため、どうしてもバイアスがかかり、必ずしも正確なデータ取得に繋がらないのが現状だからだ。そのため、動画を配信するならデータ収集が可能な動画プラットフォームが最適になる。参加者は動画を視聴しながらリアルタイムでさまざまな反応をするため正確なデータを取得できる。それが顧客ニーズやインサイトの洞察につながっていくのである。

 

動画配信から顧客ニーズやインサイトを把握

 

データ収集が可能な動画配信プラットフォームからどういったデータが収集できるか。具体的なイメージは図1のとおりである。図1は資産運用をテーマにした60分の動画で視聴者のリアクション推移を示したレポート画面になる(動画配信プラットフォーム「MICE Online」のレポートページ *2021年12月、MICE Onlineは視聴ログデータ収集における技術特許を出願済み)。

表の見方は、横軸に60分動画の各パートを並べ、縦軸に視聴者のリアクション(今回は「いいね」ボタン)数を表示している。

MICE Online レポートページ

実際に結果を考察してみる。各パートの中で最も評価が高かったのは、資産運用の基礎的な話をした時だった。ちなみに他のテーマの動画においても基礎的なパートは高い評価を得ることが多く、講演の中に必ず入れておきたいパートだ。

次いで評価の高いパートは、質疑応答の一つ目の質問「娘の投資教育はいつからすべきか」だった。今回の動画の視聴者は自分の資産運用だけではなく、子供の資産運用教育への関心が高いことが見て取れる。次回、このテーマで動画配信を行うことで、この層とより深い関係性を構築できることがわかる。このように講演の全体に対しての評価だけではなく、より細分化した評価を見える化することで新たな知見が得られるのである。

(※MICE Onlineは、現在、この部分に関わる技術特許を申請中)

 

視聴者リストに対して優先順位をつけてアプローチ

 

本動画を配信した主催者の目的は、資産運用サービスを受注することだ。そのため本動画で獲得したリスト(セールスリード)に対して、今後、営業部員がアプローチしていくことになる。従来、ここに大きな課題が存在していた。営業部員は、視聴者リストを付加情報なく渡されても、誰からアプローチしてよいかわからない。闇雲にアプローチしても負荷や工数がかかるだけ。そのためリストを渡されてもアプローチが後手に回ってしまうのだった。

一方、視聴リストに、「サービス詳細」への関心の有無が付加されていたら、関心の高い方に対して迅速にアプローチでき効率的な営業活動に繋がるのだ。

 

PDCAサイクルの高速回転

 

一つの動画から得られるデータだけでは精度はまだまだ低いが、動画の本数を増やしていき、さまざまなデータを取得することで、その精度は高まっていく。それが「まだ満たされていないニーズ、潜在ニーズの把握」、「顧客ニーズやインサイトの把握」に繋がり、顧客との信頼関係の構築、受注へとつながっていくのだ。さらに、受注した企業がどういったリアクションをしたのかを逆算することで、ペルソナが確立できる。ターゲットが明確化されると効率的なプロモーションを行うことができ、全体サイクルがより最適化される。このサイクルをどんどん回していくことが営業DXの構築につながっていくのだ。データ量を増やすという意味では、動画配信プラットフォームとMAツールやSFA等とAPI連携することも重要になる。

コロナ禍により営業DXの重要性はますます高まっている。営業DXに欠かせないデータをいち早く収集し、それを軸に営業プロセス、体制を構築することが今後企業が生き残るための必要十分条件いなる。データを制するものが競争を制する時代に突入し始めているといえるだろう。